<法的根拠なし、弔意の強制、予備費から数十億円の支出>
岸田内閣は、参議院選挙の遊説中に銃撃を受けて亡くなった安倍晋三元首相の葬儀を「国葬」として執り行うことを閣議決定しました。「国葬」とする理由は、首相在任の長さと「功績にすばらしいものがある」からだとしていますが、安倍元首相の評価は様々です。
社民党は、安倍氏に特質すべき功績はないばかりか、政治を私物化し立憲主義を破壊した重大な責任があると考えています。不当な暴力で命を奪われたことへの同情はあっても、葬儀を法的根拠の無い「国葬」として特別扱いし、国民に弔意を強制することは許されません。ましてや、国民の税金による「国葬」を一内閣の独断(閣議決定)をもって行い、国会の議を経ない予備費の支出で対応しようとするのは、財政民主主義にも反します。
<旧統一教会との癒着は、安倍政権下で拡大深化>
安倍元首相と旧統一教会との深い癒着も問題です。安倍元首相の祖父の岸信介氏の時代に、保守政治の助っ人として引き入れられ、岸信介氏は自宅の隣に拠点を構えた旧統一教会の幹部らとの関係を密にし、その繋がりは父の晋太郎氏にも引き継がれました。霊感商法などが批判を受けた時期には双方の関係は潜行していましたが、第二次安倍政権の下で再び強化され大っぴらとなり、大臣や副大臣、党の幹部政治家の多くが統一教会との結びつきを深めました。
安倍元首相自身が旧統一教会からの協力を派閥の各議員に割り振る権限を事実上持ち、教会が唱えるジェンダー平等反対や男女差別容認の主張、憲法改悪案まで自民党内に深く根付かせてきました。
<自民党は旧統一教会との関係の徹底究明を>
岸田首相は8月31日、内閣支持率の下落の要因について旧統一教会問題や安倍元首相の国葬への批判があると指摘し、旧統一教会への対応に関しては「自民党の基本方針として関係を断つ」と明言しました。そして国葬についても国会の閉会中審査に出席し「丁寧な説明に全力を尽くし、国民の理解を得たい」と強調しました。
また自民党の茂木敏充幹事長は8月26日付けで所属国会議員に調査票を配布し、結果を9月5日までに取りまとめ6日にも公表する予定だったが、「あいまいな記述が多く、確認が必要」と公表は延期されました。今回の自民党の調査はアンケート方式による自己申告であり、「調査」とは名ばかりのもので、第三者機関を通じた調査で全容解明をすべきです。また対象を自治体議員にも広げる必要があると共に、安倍氏との関係調査についても必要不可欠です。自民党には、旧統一教会との関係の徹底究明を強く求めます。
閣議決定は撤回し、安倍元首相の「国葬」は中止を!
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